星座。よく占いとかに使われる、人々を分類する所属。
僕の彼女は蠍座だった。
そんな星座ごとに「守護星」と呼ばれる惑星が当て嵌められている。その守護星について、彼女と話題になった。
「私は冥王星ね。」
彼女の守護星、冥王星は彼女のお気に入りだった。
「黄泉の世界の王の惑星が守護星だなんて、とても神秘的だわ。」
そう話す度に彼女は息が弾んだ。余程嬉しいのだろう。
だが、この惑星界隈において、彼女にショッキングな出来事が起こった。
「冥王星が惑星じゃなくなる…!?」
そう、その言葉通り、冥王星は惑星として認められなくなってしまったのだ。
彼女にとっては冥王星は大きな存在。そして拠り所であった。
悲しむ彼女。そして涙を振り払って、彼女はこう言った。
「たとえ冥王星が惑星ではなくなっても、冥王星自体の存在が無くなる訳ではないわ。」
そしてこう言った。
「私は冥王星の加護を受け続ける。どんなに遠くて、認められなくても。」
しかし、僕は見抜いていた。それは孤独な戦いであることを。
だから僕は彼女を守る為、ある事実を伝えた。
そもそも、僕の星座は牡羊座だった。そしてその守護星は…
僕は彼女を孤独な戦いから救うことにした。そして守護星の話をした。
「君は蠍座で、守護星は冥王星だ。でも、蠍座にはもう一つの守護星があるんだよ。」
彼女は少し驚いた顔をした。僕は続けた。
「蠍座の守護星は『火星』もあるんだよ。そしてこの僕は牡羊座、そして守護星は同じく『火星』だ。」
彼女は驚いた。
「冥王星だけに拘る必要は無いよ。さあ、僕と一緒に近き惑星、火星の加護を求めようじゃないか。」
最初は戸惑っていた彼女だったが、同じ恋人同士で同じ守護星であることを噛み締め、僕と共に歩むことを選んだ。
でも彼女は冥王星との関係を断つことは無かった。あれだけ熱を入れていたのだから。
けれども僕はそれでいいと思っている。思い入れというのはそう簡単には変えられないのだから。
でも、そんな彼女も火星の守護を信じている。僕はそれでいいと思っている。火星も冥王星もまだ存在しているのだから。