変わりゆく涙

涙と私

人は、泣きながら産まれてくる。皆が喜ぶ中で。


そして成長の中で、嫌なこと、痛いこと、その他諸々で泣くことがある。

その時は親があやしてくれる。


さらに成長を遂げると、他人に虐げられて泣くこともある。

その頃になると慰めが無い時もある。

酷い時は更に涙を促す者もいる。



「こんなに悲しいなら誰とも関わりたくない。」

涙は時に人に孤独の欲求を与える。誰にも心に傷を負わされたくないから。





だから私は独り身を貫いた。ずっとずっと。


そんな時、悲しさが頂点に達した。

そして願いが生まれた。

本当に愛してくれて、涙を拭ってくれる人と出会えることを。



そしてそれは叶えられた。

笑顔が増えた。幸せが増えた。

涙が消えた。


でもある日。クリスマスイブのある日。愛する人は仕事が入ってしまった。

寂しく待つ一日。それは夜まで続いた。

そして……


電話が鳴った。愛する人からだった。仕事が終わった、と告げてくれた。

でもあまりに遅い時間でクリスマスを祝えなかった。そして……私は泣いてしまった。


でも、彼は言ってくれた。

「泣かないで」

その一言が嬉しかった。

涙を、止めてくれたから。



その後、私達は式を挙げた。

チャペルの壇上を登り、置かれていた宣誓書を見た時、こっそり泣いた。

これでやっと本当に夫婦になれるんだなと。

嬉し涙だった。


恥ずかしくて隠した涙だったけど、旦那には見つけられてしまった。

「嬉しいんだね」

そして互いにキスをし、永遠の愛を誓った。



この先、どんな涙かは分からないけれど、また流すかもしれない。

けれどもどんな涙でも受け止めてくれる人がいるから、私はもう涙は怖くない。

安心して、流すことができるんだ。

2023年08月14日